私的評価
『ザ・ウォール』を観ました。レンタルDVDでの鑑賞です。
この映画、出演者はほとんど2人(アイザックとマシューズ)のみで、舞台も逃げ込んだ壁の裏だけという非常に限定的な設定です。しかし、その制約がかえって緊張感を高め、90分間まったく退屈せずに観ることができました。
敵スナイパーは直接姿を現さず、声やスコープ越しの視界だけで存在感を示します。その不気味さが画面越しに伝わり、観ているこちらまで息を呑む緊張感に包まれます。さらに、このスナイパーは単なる敵ではなく、復讐心に駆られて相手を弄ぶかのように殺害しており、サスペンスやホラーの要素も感じられます。
シンプルな舞台設定と限られた登場人物ながら、心理戦と緊張感で観客を引き込む力のある映画で、短時間でしっかりと楽しめる作品でした。
★★★★☆
作品概要
監督はダグ・リーマン。脚本はドウェイン・ワレル。
主演はアーロン・テイラー=ジョンソン、その他出演者にジョン・シナ、ライト・ナクリです。
2017年公開のアメリカの戦争映画です。2007年、イラク。イラクの戦場で敵の銃撃を受け、壁の背後に身を潜めながら、姿の見えない敵のスナイパーと息が詰まような対峙をすることになったアメリカ兵が主人公です。知力・体力の限りを尽くして、ずる賢くて「死に神」の異名を持つ相手スナイパーと決死のサバイバルゲームを繰り広げるさまを描く映画です。
作品の紹介・あらすじ
解説
イラク戦争で大勢のアメリカ兵を葬った実在のスナイパー、ジューバの標的となった兵士の攻防を描くサバイバルスリラー。『フェア・ゲーム』や『ボーン』シリーズなどに携わってきたダグ・リーマンが監督を務める。姿なき敵と駆け引きを繰り広げる主人公を『キック・アス』シリーズや『ノクターナル・アニマルズ』などのアーロン・テイラー=ジョンソンが演じ、WWEの人気プロレスラー、ジョン・シナらが共演。
あらすじ
2007年のイラク。がれきの中に潜む敵を狙っていたアメリカ兵のアイザック(アーロン・テイラー=ジョンソン)とマシューズ(ジョン・シナ)だったが、様子を確かめようとしたマシューズが思わぬ場所から狙撃される。援護に向かったアイザックも撃たれて負傷し、何とか壁の背後に退避するが、動けなくなってしまう。そこへ仲間を名乗る男からアイザックに無線が入るが、彼はその声に違和感を覚え……。
シネマトゥデイ
感想・その他
まさに蟻地獄のような緊迫感です。ただし、蟻地獄のように辛抱強く獲物を待つのではなく、この敵スナイパーは獲物を巧みに誘き寄せるタイプです。映画の敵スナイパーは、イラク戦争時に37人のアメリカ兵を殺害した実在の狙撃手<ジューバ>をモデルにして制作されたとのことです。その冷徹さと計算高さが、観ているこちらに強い緊張感をもたらします。一度は死んだと思われたマシューズが反撃に出るのでは、と期待しましたが、映画はその予想を見事に裏切ります。最後の最後に用意された展開は、観客をあっと驚かせるものでした。個人的には、本来の任務である2人で敵スナイパーを仕留めてほしかった、という思いもありますが、この意外性こそが映画の緊張感を高め、強烈な印象を残す要素になっています。
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