私的評価
映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を観ました。レンタルDVDでの鑑賞です。
物語の中心となるのは、ペニーワイズという恐ろしい存在と、それに立ち向かう子どもたち。そんな中で特に印象に残ったのが、少女・ベバリー役を演じたソフィア・リリスです。彼女は単なる可愛らしさだけでなく、芯の強さや繊細な感情を絶妙に表現していて、画面から目が離せませんでした。怖い場面や緊迫した場面でも自然体で存在感を放ち、観ている側に強く感情移入させてくれます。その魅力はスクリーン越しにもはっきり伝わり、気付けばファンになっていました。
また、ベバリーの成長や葛藤が描かれることで、恐怖だけでなく人間ドラマとしても物語に深みが生まれています。単なるホラー映画にとどまらず、登場人物の心理描写や関係性が丁寧に描かれているのは、この作品の大きな魅力のひとつだと感じました。
★★★★☆
作品概要
監督はアンディ・ムスキエティ。脚本はチェイス・パーマー、キャリー・フクナガ。
製作はロイ・リー、ダン・リン セス・グラハム。
主演はジェイデン・リーベラー、その他出演者にビル・スカルスガルド、ソフィア・リリスほか。
2017年公開のアメリカのホラー映画です。『IT/イット』(1990)のリメイク版です。1990年度版は、子供時代パートと大人時代パートに分かれていましたが、今作では子供時代に絞って話が展開されます。内気な少年ビルの弟が、ある大雨の日に外出し姿を消してしまいます。自分を責め、悲しみにくれるビルの前に現れた“それ”を目撃して以来、ビルは“それ”の恐怖にとり憑かれてしまいます。
作品の紹介・あらすじ
解説
1990年に映像化されたスティーヴン・キングのホラー小説を、『MAMA』で注目を浴びたアンディ・ムスキエティ監督が映画化。静かな田舎町に突如現れた正体不明の存在が、人々を恐怖に陥れるさまが描かれる。『ヴィンセントが教えてくれたこと』などのジェイデン・リーバハー、『シンプル・シモン』などのビル・スカルスガルドをはじめ、フィン・ウォルフハード、ソフィア・リリスらが出演。
あらすじ
とある田舎町で児童が行方不明になる事件が相次ぐ中、おとなしい少年ビルの弟が大雨の日に出掛け、大量の血痕を残して姿をくらます。自分を責めるビルの前に突如現れた“それ”を目撃して以来、彼は神出鬼没、変幻自在の“それ”の恐怖に襲われる。彼と同じく“それ”に遭遇した人々とビルは手を組み、“それ”に立ち向かうが……。
シネマトゥデイ
感想・その他
うちの二男が観たいというので、レンタルDVDで借りてみました。映画の冒頭はやはり怖く、ペニーワイズの登場シーンでは思わず身をすくめてしまいます。しかし物語が進むにつれて、次第に『グーニーズ』や『スタンド・バイ・ミー』のような、少年少女たちの冒険活劇の要素が色濃くなってきます。仲間同士の友情や小さなトラブルのやり取り、街の謎を解き明かす冒険心などが描かれ、怖さだけではなくワクワク感も味わえました。ただし、恐怖映画を期待していた場合は「ちょっと違うぞ」と感じるかもしれません。それでも最後までよく分からなかったのが、そもそもイットとは何なのか、という点です。悪魔なのか、宇宙人なのか…。人間ではないことは確かですが、なにせずっと前からデリーという街に潜んでいる(?)のですから、その正体は謎に包まれています。映画で分かるのは、27年ごとに子どもを誘拐して食べる(?)というサイクルがあること、あとは長い間眠っている、ということくらい。なぜ子どもだけを狙うのか、その理由についてはまったく触れられていません。
さらに印象的だったのは、登場する子どもたちの親たちの不気味さです。子ども以上にこちらのほうが恐ろしく感じる場面も多く、町全体に漂う得体の知れない不安感が巧みに描かれています。こうした描写のおかげで、ホラーとしての緊張感は最後まで維持され、観る者をぐっと引き込む力がありました。
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