
『砂田弓弦写真集クラシックレース 壁のないコロシアム』
第1章 5大クラシックレース ミラノ~サンレモ 2009年
298キロもの長い距離を走り抜けて、最後に勝敗を分けたのはたったこれだけの差――ほんの数センチのわずかな違いです。しかし、たかが数センチとはいえ、選手にとって優勝と2位の差は天と地ほども大きく、栄誉も称賛もまったく異なるものです。何時間も走り続け、最後の一瞬にかけた全力のぶつかり合いが、このわずかな差に凝縮されているのです。
添付された写真の説明文にはこうあります。
「ハインリッヒ・ハウスラー(写真左)が勝利をほぼ手中に収めたかに見えた瞬間、マーク・カヴェンディッシュ(右)が驚異的なスプリントを仕掛け、劇的に勝利を奪い取った。この勝利で、長らく言われてきた『カヴェンディッシュはポッジオの坂を上がれないからミラノ〜サンレモでは勝てない』という定説が覆された。」
ミラノ〜サンレモは概ね平坦なコースで知られ、そのため「スプリンターズ・クラシック」とも呼ばれています。ここに集まるのはスプリンターと呼ばれる高速走者たち。彼らが大集団で競い合うゴールスプリントは、このレースの華でもあり、よくあるシーンと言えばそうなのかもしれません。
しかし、何度見返しても、この写真が捉えたのは単なる日常のゴールシーンではありません。まさに決定的な瞬間であり、数センチの差に運命を握られたこの一戦は、長時間の激闘のすべてが詰まった歴史的なワンシーンなのです。そんな熱いドラマを感じながら、私は改めて自転車レースの魅力に引き込まれていきます。
数あるクラシックレースの中でも、もっとも早く開催され、イタリア語で春を意味する「プリマヴェーラ」 (la primavera, the spring) との愛称を持ち、レースファンに春の訪れを知らせるレースである。
秋に行われるジロ・ディ・ロンバルディアと兄弟レースとも言われており、ミラノ〜サンレモを「スプリンターズクラシック」、ジロ・ディ・ロンバルディアを「クライマーズクラシック」と呼ぶことがある。すべてのワンデーレースの中で最長の距離(2008年や2010年は298km)を走るのが特徴であり、その異名どおり、スプリンターたちからは、最も勝ちたいレースに挙げられる。
ミラノ〜サンレモ
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