
7最近のリンの定位置は、なぜか二男の机の上である。
人間なら勉強や仕事をする場所だが、彼女にとっては「高見の見物台」らしい。机にちょこんと座り、時折こちらを見下ろす様子は、まるで家庭内の監督官である。
ところが、たまにこちらへやって来ると思えば、写真のようにガリガリサークルの中に収まっている。今までその存在をほとんど無視していたのに、急にお気に入りの椅子のように使い始めるのだから不思議だ。猫とは気まぐれの天才である。
理由を考えてみたら単純なことだった。ちょうどそこがクーラーの風の特等席。なるほど、涼しい風が直撃する一等地を彼女はついに見つけたわけだ。人間が「快適な席取りゲーム」をしているように、リンも夏場の居場所を真剣に吟味しているのだろう。
しばらくの間、彼女はその中でクールダウン。前足を揃えて涼しげな顔をしている姿は、「ここが私のVIPルームよ」とでも言いたげだ。やがて体温が落ち着くと、何事もなかったかのように再び二男の机の上へ。監督官は持ち場へ戻っていくのである。
ガリガリサークルは爪とぎ用に買ったつもりが、まさかの「夏限定・冷房ラウンジ」として利用されることになった。結局のところ、家具の使い方を決めるのは人間ではなく、猫様なのである。
コメント