
久しぶりに、自転車旅をテーマにした本を読みました。今回読んだのは、『ペダルよ、あれがパブの灯だ』と『世界でいちばん長いハネムーン』という2冊。どちらも旅の臨場感にあふれた作品で、自転車で世界を巡るという壮大な冒険に、ページをめくる手が止まりませんでした。
『世界でいちばん長いハネムーン』は、読み始めてすぐに「あれ?これ、以前にも読んだことがあるような…」という既視感にとらわれました。ブログに読書記録を残しているので、さっそく検索してみたのですが、それらしい記事が見つかりません。不思議に思ってもう少し調べてみたところ、ようやく思い出しました。以前読んだのは、同じ著者による『88ヶ国ふたり乗り自転車旅 北米・オセアニア・南米・アフリカ・欧州篇』という本でした。おそらく、『世界でいちばん長いハネムーン』の短縮・再編集版といった内容で、エピソードや文体が似ていたため、記憶が重なったのでしょう。
もう一冊の『ペダルよ、あれがパブの灯だ』は、これまでに読んだどの自転車旅の本とも違う味わいがありました。日本から出発してアイルランドを目指し、そこからユーラシア大陸を横断するという旅路。タイトルにある“パブ”という言葉が象徴するように、ただ目的地に向かうだけでなく、その土地の文化や人々との出会いが丁寧に綴られていて、旅の奥行きが感じられる作品でした。
あとがきによると、もともとの原稿を半分に削ったとのことで、確かに旅のボリュームに対して内容はややあっさりめに感じました。旅の過酷さや詳細な日常描写を深掘りするというよりは、あくまで軽やかに、風を受けるようなリズムで読み進められる文体が特徴です。そうした「サラッと感」こそが、この本の魅力なのかもしれません。気負わずに読めて、それでいて心に残る言葉や風景がある――そんな作品でした。
2冊とも、それぞれのスタイルで「旅」と「自転車」の魅力を存分に伝えてくれました。久しぶりに読んだジャンルでしたが、また別の自転車旅本も読みたくなってきました。旅への憧れと、日常を抜け出したい気持ちがふつふつと湧いてきます。
0 件のコメント:
コメントを投稿