私的評価
映画『残された者 -北の極地-』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
良い映画だとは思います。しかし、映画前半での主人公オボァガード(マッツ・ミケルセン)が繰り返すサバイバルのためのルーティンの場面が退屈でした。ただ、救助に来て負傷してしまった女性を助けるために行動に移ってからは見応えがありました。
この映画では、どうして主人公が北極圏に取り残されたのかを説明していません。分かるのは乗っていた飛行機が墜落して一人だけ助かったということ。このような、あってもなくてもいい説明の場面を省いた無駄のないところは、好感が持てました。
ほぼセリフのない映画で、寒い部屋で観るのがおすすめです。
★★★☆☆
作品概要
監督はジョー・ペナ。脚本はジョー・ペナ、ライアン・モリソン。
製作はクリストファー・ルモール、ティム・ザジャロフ、ノア・C・ホイスナー。
出演はマッツ・ミケルセン、マリア・テルマ・サルマドッティほか。
2018年のアイスランドのサバイバル映画です。日本では2019年11月公開。出演者が5人だけという映画で、ほとんどがマッツ・ミケルセンの演技だけの映画でした。
作品の紹介・あらすじ
解説
『偽りなき者』やドラマシリーズ「ハンニバル」などのマッツ・ミケルセンが主演を務めたサバイバル。事故で極寒の地に取り残された男が生き延びようとする姿を描く。説明的な表現を排し、マッツ演じる主人公が迎える危機的状況をリアルに表現。ブラジル出身のジョー・ペナ監督が初めて長編のメガホンを取り、「ハンニバル」などのマーサ・デ・ラウレンティスが製作総指揮として参加している。
あらすじ
飛行機事故で北極地帯に不時着したパイロットのオボァガード(マッツ・ミケルセン)は、壊れた飛行機をシェルター代わりにし、白銀の荒野を歩き、魚を釣り、救難信号を出しながら救助を待っていた。しかし、救助に来たヘリコプターも強風のため墜落し、女性パイロットが大けがをする。瀕死の彼女を救うため、オボァガードは自力で窮地を脱しようとする。
シネマトゥデイ
感想・その他
主演のマッツ・ミケルセンは、デンマークのコペンハーゲン出身の俳優で、「北欧の至宝」という異名を持つそうです。1965年生まれということで、私よりたったの一つ年下。聞いた瞬間、「うーん、そうなんだ」と妙に納得しつつも、どこか自分自身を振り返ってしまうような複雑な気持ちになりました。正直に言えば、「オレっていったい…」と自己嫌悪的な感覚にも似た、そんな微妙な感情が胸の奥に湧き上がってきたのです。それにしても、私自身これまでマッツ・ミケルセンの作品をほとんど観ていなかったことに気づきました。映画もテレビドラマも未見で、たとえば有名なドラマ『ハンニバル』も観ていません。実はその中でレクター博士役を演じているのがこの俳優さんなのですが、予告や断片的な映像で見た彼のレクター役は、今回この映画での髭ボーボーの荒れた姿とはまったくの別人のように感じられ、俳優としての振れ幅の大きさに驚かされました。
さて、この映画の主人公役のマッツ・ミケルセンからは、まるで実際に浮浪者の臭いが漂ってきそうなほどのリアルさがありました。彼の表情や所作、体臭までもがスクリーンから伝わってくるかのようで、その演技力の凄さに圧倒されました。見た目の荒廃ぶりだけでなく、そこに宿る人間の哀しみや葛藤が余すところなく描かれており、彼の存在感が作品全体のリアリティを格段に高めていました。
こうしてマッツ・ミケルセンの演技に触れてみると、まだまだ彼の魅力を知らなかった自分の視野の狭さを痛感し、これからはもっと彼の作品を追いかけてみたいという気持ちが芽生えました。歳が近いだけに、彼の圧倒的な演技力とキャリアに触れることは、自分自身の励みにもなりそうです。
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