ジュード・ロウ主演、映画『オーダー』のあらすじ・感想など

私的評価

ジュード・ロウ主演の映画『オーダー』を観ました。
Amazonプライムビデオでの鑑賞です。

この作品は、1980年代にアメリカで実際に活動していた極右テロ組織「The Order」をモデルにしており、歴史的事実に基づいたリアルな物語が描かれています。映画の冒頭から、ジュード・ロウ演じる登場人物の視点を通して、過激思想に染まった人々の心理や行動の背景が丁寧に描写されており、観ている側もその狂気に引き込まれていきます。私自身、全編を通して強い引力を感じながら観ましたが、一緒に鑑賞していた妻はクライマックス直前で眠ってしまいました。それだけ、派手なアクションや劇的な展開は控えめで、淡々と事件や思想の過程を追う構成となっています。

映画全体のテンポは決して遅くはないものの、感情を大きく揺さぶる場面は少なく、どちらかと言えば冷静に事実と心理を見つめさせる作りです。そのため、派手なアクション映画やハリウッド的なカタルシスを期待すると少し物足りなさを感じるかもしれません。しかし逆に言えば、過激思想がどのように人々を動かし、社会に危険を及ぼすかを、静かに、そしてリアルに描き出す社会派スリラーとしての価値は非常に高いです。

単なる娯楽作品ではなく、極端な思想の危険性や組織化された暴力の恐ろしさを観客に問いかける意図がしっかりと伝わる作品であり、ジュード・ロウの演技も冷徹さと人間的な葛藤を同時に表現していて見応えがあります。社会派スリラーとしての緊張感は最後まで失われず、観終わった後に深い余韻が残る映画でした。

★★★★☆

作品概要

監督はジャスティン・カーゼル。
脚本はザック・ベイリン。
製作はブライアン・ハース、スチュアート・フォード、ジャスティン・カーゼル、ジュード・ロウ。
主演はジュード・ロウ、その他出演者にニコラス・ホルト、タイ・シェリダン、ジャーニー・スモレットほか。

映画『オーダー』(原題:The Order)は、2024年製作のカナダ映画で、2025年2月6日よりAmazonプライムビデオで配信されています。監督はジャスティン・カーゼル、主演はジュード・ロウが務めています。1980年代に実際に活動していた白人至上主義団体を基にしたクライムサスペンスで、緊迫感あふれるストーリーが展開されます。

作品の紹介・あらすじ

解説
監督は ジャスティン・カーゼル(『アサシン クリード』、『マクベス』などで知られるオーストラリアの映画監督)、主演は ジュード・ロウ、共演に ニコラス・ホルト、タイ・シェリダン らがいます。
この映画は 1980年代のアメリカで実際に活動していた白人至上主義団体「The Order(オーダー)」を基にした物語 で、連邦政府に対する反乱を企てる危険な集団を追うFBI捜査官の姿を描いています。

あらすじ
FBIのベテラン捜査官 テリー・ハスク(ジュード・ロウ) は、アメリカ政府を転覆しようとする過激な白人至上主義組織「オーダー」の活動を捜査しています。彼は地元の保安官代理 ジェイミー・ボーエン(タイ・シェリダン) と協力しながら、組織のリーダー ボブ・マシューズ(ニコラス・ホルト) を追い詰めていきます。
しかし、組織の計画は想像以上に大規模で、武装したメンバーたちは国家を揺るがす危険な陰謀を進めていました。テリーとジェイミーは、この脅威を阻止するために命をかけた戦いに挑むことになります。

感想・その他

主演のジュード・ロウと聞いて、私の頭に真っ先に浮かぶのは、映画『スターリングラード(原題:Enemy at the Gates)』で演じたソ連の狙撃兵ヴァシリ・ザイツェフの姿です。若き狙撃兵として極限状態の戦場に身を置き、静かで繊細な眼差しの中に鋭い意志を宿した彼の演技は、今でも鮮明に記憶に残っています。それほど強烈な印象を受けたにもかかわらず、よく考えてみると、それ以外のジュード・ロウ出演作を私はほとんど観ていないことに気づきました。

気になってWikipediaでフィルモグラフィを確認してみると、1994年の映画デビュー以降、彼は途切れることなく作品に出演しており、『リプリー』『A.I.』『コールドマウンテン』『シャーロック・ホームズ』シリーズなど、名だたる監督や俳優たちと共演を重ねてきた、まさに一線級の売れっ子俳優でした。しかし残念ながら、私自身がその多くの作品をスルーしてきたようです。

その理由を自分なりに考えてみたところ、もしかしたらジュード・ロウの「端正すぎる」顔立ちが、どこか私の好みに合わなかったのかもしれません。整いすぎた容姿は、時として感情移入を難しくさせることもありますし、若い頃の彼はどちらかというと“美しさ”が前面に出ていた印象があります。

そんなジュード・ロウも、今では52歳(2025年2月現在)。時の流れは容赦なく、髪もかなり後退してきてはいますが、その分、若い頃にはなかった深みや渋さが加わり、演技にも重みが感じられるようになりました。本作では、その年齢と経験を生かした落ち着いた演技が光り、私は初めて彼の“格好良さ”を素直に感じることができました。若いころの“美しさ”ではなく、今の“存在感”に惹かれたのだと思います。

本作は、そんな私にとって、ジュード・ロウという俳優を見直す良いきっかけとなりました。これまで自分の中でなんとなく遠ざけていた俳優でしたが、今後は彼の出演作を少しずつ追いかけてみたくなる、そんな心境の変化があったのです。やはり俳優というものは、年齢を重ねることで本当の魅力がにじみ出てくるものなのかもしれません。

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