今回の小旅行には、いつものメンバー3人に加えて、もう1人が加わる予定でした。しかし、なんとその1人がまさかの寝坊!朝の集合時間になっても連絡が取れず、電話をかけても鳴りっぱなし。少しだけ待ってみたものの、諦めて結局いつもの3人旅となりました。こういうちょっとしたトラブルもまた、旅の思い出になるのですから不思議なものです。
名鉄を使って阿智駅まで移動し、そこからはYAOバスで八百津町のファミリーセンター前へ。週末限定で運行されている観光シャトルタクシーを利用するという選択肢もありましたが、私たちは歩いて行くことにしました。理由は予定していた時間のシャトルタクシーに外人さんが先に乗車してしまって、乗られなかったためです。次のシャトルタクシーは1時間後と言われ、私たちは歩くことにしたわけです。
旅足橋とは…
旅足橋は丸山ダム建設に伴って、木曽川とその支流旅足川との合流点に架設された道路橋です。道路は国道418号の旧道で、2029年度竣工予定の新丸山ダム建設により水没する為、順次付替工事が進められており、既に新旅足橋を含むバイパスが一部開通しています。
本橋の最大の特徴は、補剛トラス中央部の上弦材を主ケーブルに兼用させた特異な構造で、アメリカの橋梁エンジニアD.B.Steinman氏の考案によるもの。本形式橋の架設例は世界でたったの5橋、現存は3橋のみ。その内主ケーブルをアイバーで代用した橋を除くと、ウォルター・テイラー橋と本橋のみという大変希少な形式の橋と言えます。その後、橋梁技術の急速な進歩により、アーチやローゼ・斜張橋の時代となり、本橋を最後にこの形式を採用する事例はありませんでした。
我が国の吊橋技術の進展に貢献し幾多の台風にも耐えた本橋も、新丸山ダム建設工事の進捗により撤去されるものと思われ、湖底に眠る旅足川水路橋のように、ひっそりとその役目を終えようとしています。
竣 工:1954年(昭和29年)
構 造:下路型単径間補剛トラス吊橋 他
支間長/幅員:114m/4.5m
設 計:笹戸松二 氏
同形式の橋(竣工年/支間長)
・1926年 Hercilio Luz橋 340m(ブラジル)
・1928年 Silver橋 213m(アメリカ)
→ 1967年崩壊
・1928年 St. Marys吊橋 213m(アメリカ)
→ 1971年撤去
・1936年 Walter Taylor橋 183m(オーストラリア)
土木ウォッチング(旅足橋)
目的地の旅足橋は、深い緑の山々と渓谷の中にひっそりと姿を現します。橋そのものは、鋼製のトラス構造を持ち、いかにも昭和の土木技術が詰まった重厚な佇まい。架けられたのはおよそ70年前。年月を重ねた鉄の肌が、長い歴史を物語っているようでした。
この橋は、今後完成予定の新丸山ダムの建設により、洪水時には水没の可能性があると言われています。ダム完成予定は2028年。現在、旅足橋の保存に向けて、国や地元関係者の間でさまざまな検討が進められているそうです。なんと、同型の橋は世界中にあと3橋しか残っていないとのことで、技術的・歴史的に極めて貴重な存在であることがわかります。
訪れたのは土曜日だったため、旧道の区間も通行可能でしたが、この国道418号の旧道部分は、土日祝日のみ開放され、平日は安全上の理由から通行止めになっているとのこと。道中の舗装もやや荒れており、自然と共に朽ちていくような風情がありました。
帰り道、橋を振り返りながら、「できることなら、何らかの形でこの橋が後世に残っていってほしい」と思わずにはいられませんでした。現地までの道のりも含めて、全体として非常に味わい深い旅となりました。興味のある方は、ぜひ土日祝日の開通日に、公共交通と徒歩を組み合わせて訪ねてみてください。旅足橋、その名前の通り、旅の足を止めて見入る価値のある橋です。

photo by エリオットさん
名鉄 阿智駅でYAOバスの発車待ち。


丸山ダム嵩上げ工事現場。新丸山ダムは既存ダムの1.2倍の高さ(122.5M)になるそうです。






お昼兼反省会は、三勝屋さん。店の前は人だかり。


photo by エリオットさん

「八百津といえば栗きんとん発祥の地」とも言われています。

2 件のコメント:
かつて調べた際にはすっかり水没すると把握していましたが
そうでもないのですね
但しアクセスはムリかもしれませんね
事実確認が不備で、これは反省ですね
ranranさん、コメントありがとうございます。
補修事業を考えると保存は考えられているのかもしれませんね。構造上の問題からどこかに移転も難しそうです。どうするんですかね。
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