ショーン・ペン主演、映画『ザ・ガンマン』のあらすじ・感想など

私的評価

映画『ザ・ガンマン』を観ました。
Amazonプライムビデオでの鑑賞です。

全体としては、ありきたりなストーリーで新鮮味に欠ける映画でした。個人的にはショーン・ペンの出演作は『アイ・アム・サム』くらいしか思い浮かばず、彼がこうしたアクション映画に出ているのは意外な印象でした。『アイ・アム・サム』で見せた繊細な演技からは想像できないほど、今回は筋肉を鍛え上げた体でアクションに挑んでいます。しかし、如何せん小柄な体格ゆえか、迫力や圧倒感にはやや欠ける印象が否めません。

それでも、クライマックスの闘牛場での戦いは見応えがあり、緊張感やスピード感を感じられる場面でした。このシーンではアクション映画としての醍醐味を十分に味わえ、少なくとも最後の盛り上がりは観る価値があると思います。

ちなみに、この映画は小説『眠りなき狙撃者』を原作としており、1982年にはアラン・ドロン主演で『最後の標的』という題名で映画化されているそうです。機会があれば、オリジナル版と比較してみるのも面白そうです。原作や前作との違いを見比べることで、この映画の魅力や演出の意図をより深く理解できるかもしれません。

総じて、『ザ・ガンマン』はストーリーの新鮮さには欠けますが、ショーン・ペンの意外なアクション挑戦やクライマックスの見応えで、アクション映画好きなら楽しめる一作と言えるでしょう。

★★★☆☆

作品概要

監督はピエール・モレル。
原作はジャン=パトリック・マンシェット。
脚本はドン・マクファーソン、ピート・トラヴィス、ショーン・ペン。
製作はショーン・ペン、アンドリュー・ローナ、ロン・ハルパーン。
主演はショーン・ペン、その他出演者にイドリス・エルバ、レイ・ウィンストン、マーク・ライランス、ジャスミン・トリンカほか。

2015年制作のアメリカ/スペイン/イギリス/フランスの合作映画です。1981年にジャン=パトリック・マンシェットが発表した小説『眠りなき狙撃者』を原作としたアクションサスペンス映画です。

作品の紹介・あらすじ

解説
スカー俳優ショーン・ペンが、『96時間』などのピエール・モレル監督と組んだアクション。ジャン=パトリック・マンシェットの「眠りなき狙撃者」を基に、過去を捨てた元特殊部隊の暗殺者が何者かに命を狙われたことを機に、再び過酷な戦いに身を投じていくさまを描く。アクションに備え肉体改造したショーンが演じる主人公の敵役を、『ノーカントリー』などのハビエル・バルデムが務めるほか、『マンデラ 自由への長い道』などのイドリス・エルバらが共演。

あらすじ
元特殊部隊のすご腕暗殺者ジム(ショーン・ペン)はアフリカ・コンゴ民主共和国で鉱山利権が絡む極秘の暗殺任務をやり遂げ、全てを捨て身を潜めるように生きていた。しかし数年後、突然何者かによってターゲットにされた彼は、暗殺作戦に関わった仲間たちが殺害されていることを知る。敵の正体を突き止めるため、再び銃を手にするジムだったが……。

シネマトゥデイ

感想・その他

現在(2023年時点)でショーン・ペンは1960年8月生まれの62歳。ハリウッド俳優の中でも、“渋みと内面演技”で魅せるタイプという印象が強い彼ですが、今回観た映画では、そのイメージが一変しました。この作品が公開されたのは2015年。つまり撮影当時の彼の年齢は54歳ということになりますが、スクリーンに映し出された彼の肉体は、年齢をまったく感じさせないどころか、思わず二度見してしまうほどの仕上がりでした。

その体は、まさに「バキバキ」という言葉がぴったりの筋肉で覆われ、上腕や胸筋にはしっかりとした厚みとカットが刻まれていました。例えるなら、まるで80年代アクション映画全盛期のシルベスター・スタローンやジャン=クロード・ヴァン・ダムを彷彿とさせるようなフィジカル。しかも筋肉を見せびらかすだけでなく、動きにもキレがあって、スピード感のあるアクションをしっかりとこなしているんです。体だけではなく、動ける肉体というのがまた驚きでした。

もともとショーン・ペンと言えば、『ミスティック・リバー』や『アイ・アム・サム』といった、人間の内面に深く切り込んでいくような重厚なドラマで評価されてきた俳優です。私の中でも“アカデミー賞俳優”という肩書が最も似合う人という認識で、アクション映画とはまるで無縁の存在だと思っていました。それだけに、この肉体美とアクションへの全力投球には、かなりの衝撃を受けました。

一体、どれだけのトレーニングを積み、どれほど食事制限をしてこの体を作り上げたのか…。おそらく本人の努力だけでなく、専属のトレーナーや栄養士など、プロフェッショナルの手が入っているのでしょう。それにしても、これほどの変貌を遂げるとは、役者魂というものには本当に頭が下がります。

とはいえ、正直な感想として、アクション俳優として“迫力があるか”と問われると…そこには若干の疑問が残ります。というのも、ショーン・ペンは意外にも小柄な体格で、画面越しに観ると、敵をバッタバッタとなぎ倒すにはちょっと説得力に欠けるというか、全体的に「強そう感」が薄いのです。いくら体を鍛えても、スタローンやシュワルツェネッガーのような“画面を圧倒する存在感”とはまた違う方向性で、それが惜しいというか、もどかしいところなんですよね。

もちろん、アクションシーンの説得力は体格だけで決まるものではありません。演技力や視線、所作の一つひとつでも“強さ”は表現できます。むしろ今後は、あえて“肉体派俳優”とは一線を画した、“静かな強さ”を持つアクション俳優として新しいポジションを築ける可能性もあるかもしれません。

それにしても、この年齢でこの体。やっぱりハリウッドのプロ根性はすごいですね。次にショーン・ペンの作品を観るとき、彼がシャツの袖をまくるだけで、つい“筋肉チェック”をしてしまいそうです。

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