ピルー・アスベック主演、映画『ある戦争』のあらすじ・感想など

私的評価

映画『ある戦争』を観ました。
Amazonプライムビデオでの鑑賞です。

タイトルの通りアフガニスタン紛争を題材にした戦争映画ではありますが、単なる戦闘シーンの描写にとどまらず、その根底には「戦場で下した決断を、平和な本国でどう裁くのか」という重いテーマが流れています。

物語は前半、アフガニスタンでの緊迫した戦闘活動から始まります。兵士たちの命を守るために下された指揮官の判断。その瞬間は正しいと思われた選択が、後半のデンマークでの裁判へと繋がっていきます。平和な法廷の中で、冷静に、そして淡々とその判断の是非が問われていく姿には、戦場と本国とのあまりに大きな温度差が浮かび上がり、観ているこちらの胸を締めつけました。

戦争映画でありながら、むしろ本質は「人間の倫理」や「責任の所在」を描いた社会派ドラマといった印象です。とりわけ後半の裁判シーンは、銃声が飛び交う戦場以上に強い緊張感に満ちており、最後まで目が離せませんでした。

鑑賞後には「もし自分が同じ立場なら、どのような決断を下せるのか」「正義とは誰がどこで判断するものなのか」と深く考えさせられます。戦争を遠い出来事としてではなく、普遍的な人間の問題として突きつけてくる作品でした。

★★★★☆

作品概要

監督・脚本はトビアス・リンホルム。
製作はロバート・F・ニューマイヤー、ジェフリー・シルバー。
製作総指揮はヘンリク・ツェイン、レナ・ハウゴートほか。
出演者はピルー・アスベック、ツヴァ・ノヴォトニー、ソーレン・マリンほか。

2015年のデンマークのドラマ映画です。アフガニスタンに派兵させたデンマーク軍の物語で、とある中隊の指揮官が戦争犯罪人として裁判にかけられるさまを描いています。

作品の紹介・あらすじ

解説
『光のほうへ』『偽りなき者』などの脚本で知られるトビアス・リンホルムがメガホンを取り、第88回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたデンマークの戦争ドラマ。死と隣り合わせの中で部下を守るため、誤って民間人の命を奪ってしまった兵士の葛藤と家族の絆を、アフガニスタンの紛争地域と法廷を舞台に描く。苦悩する主人公を、リンホルム監督作『シージャック』などのピルー・アスベックが熱演。

あらすじ
アフガニスタンの平和を維持すべく駐留するデンマーク軍の部隊長クラウス(ピルー・アスベック)は、母国に妻子を残し日々命懸けの任務に当たっていた。ある日パトロール中にタリバンの襲撃を受け、彼は発砲場所と考えられる地区への空爆命令を下すが、実際には民間人しかいなかった。クラウスは帰国後、子供を含む民間人11人を死亡させたことで軍法会議にかけられるが……。

シネマトゥデイ

感想・その他

この映画を観て驚いたのが、デンマークがアフガニスタンに派兵していたということです。調べてみると国際治安支援部隊には、なんと43カ国が参加していたそうです。その中でもデンマークは690名を派兵していました。日本はもちろん派兵していませんが、財政支援というカタチで参加していました。国際治安支援部隊は2001年から2014年の13年間で任務を終えました。それ以降は、「確固たる支援任務」が行われたようです。またデンマークには、18歳から32歳までの男子には徴兵制度あり、兵役期間は4か月間です。

デンマークという国は、知っているようでよく知らない国です。場所もしっかりとは答えられません。これも調べてみるとスカンディナヴィア半島の下、ドイツの北となります。ユトランド半島と、多くの島々からなる北欧の国ということです。人口は580万人、自治権を有するグリーンランドとフェロー諸島と共にデンマーク王国を構成しています。

そんなデンマークのことを知ってからこの映画を観てみるのが、良いかもしれません。
映画の最後は、主人公の最悪の事態(自殺)を考えました。それはありませんでしたが、それを匂わせるようなエンディングではありました。

コメント