私的評価
WOWOWの連続ドラマ『トップリーグ』を観ました。全6話、レンタルDVDでの鑑賞です。
物語を観進めていくうちに、次第にドラマの世界に引き込まれ、気がつけば一気に集中して観てしまいました。ラグビーを題材にした本作は、選手たちの熱いプレーだけでなく、チーム内の人間関係や監督・コーチとの葛藤、そして勝利を目指す過程での成長が丁寧に描かれており、スポーツドラマとしての完成度も高く感じました。
本作は前編と、その5年後を描く後編の二部構成になっており、前編で描かれた青春や挑戦の物語が、後編でどのように変化していくのかが興味深く描かれています。その一方で、最終話の結末は「観ている我々の想像にお任せします」というスタイルで描かれており、個人的には少し戸惑いを覚えました。やはり、長く追いかけてきた物語の最後は、もう少しスッキリとした形で締めてほしいという気持ちもあります。
それでも、チームの絆や選手たちの奮闘、熱気あふれる試合シーンなど、視聴中は常に心が躍り、ラグビーの迫力と人間ドラマの両方を楽しむことができました。スポーツの魅力だけでなく、人間の成長や葛藤を描いた点で、印象に残るドラマであったと言えるでしょう。
★★★☆☆
作品概要
原作は相場英雄の「トップリーグ」「トップリーグ2 アフターアワーズ」(ハルキ文庫)。監督は星野和成。
脚本は篠﨑絵里子。
主演は玉山鉄二、その他出演者には池内博之、久間由衣、小雪、陣内孝則、小林 薫ほか。
2019年秋にWOWOWで放送されました。タイトルになっている「トップリーグ」とは、政治部の記者たちの中でも内閣総理大臣、内閣官房長官などの与党幹部に深く食い込むことのできる、エリート記者たちのことをいうそうです。
作品の紹介・あらすじ
解説
“トップリーグ”とは、総理大臣や官房長官、与党幹部に食い込んだごく一部の記者を指す。大手新聞社の政治部記者で、官房長官番記者としてトップリーグへと上り詰めていく主人公・松岡直樹を演じるのは玉山鉄二。また松岡と同期で、現在は週刊誌のエース記者として活躍する酒井祐治を池内博之が演じる。ほか、小林薫、陣内孝則、小雪、佐久間由衣、光石研、佐野史郎など実力派キャストが集結。都内の埋め立て地で“旧紙幣1億5千万円”が発見されたのをきっかけに、政界の深い闇に挑んだ記者たちの闘いの姿を描く。
原作は、「震える牛」「不発弾」など、社会のタブーに切り込みその闇をえぐり出す小説で注目を集める相場英雄。本作は、首相官邸を舞台に現在日本が抱える問題を浮き彫りにしながら、昭和史に残る一大疑獄事件の謎に迫り、官邸最大のタブーに鋭くメスを入れていく。調査を進める中で明らかになる衝撃の事実とは。ブラックボックス化された官邸内では何が起きているのか。権力とメディアの裏側を描いた衝撃作!
あらすじ
大手在京新聞社・大和新聞の経済部に勤める松岡直樹(玉山鉄二)は、1年という約束で政治部への異動を告げられる。異動初日、松岡は政治部長の阿久津康夫(陣内孝則)に「余計なことはするなよ。」と忠告される。しかし、初めての官房長官定例会見でルールを無視し近藤官房長官(小林薫)に質問を投げかける松岡。それが功を奏したのか、松岡は近藤官房長官の目にとまり、トップリーグへと上りつめていく――。
一方、かつて松岡の同僚だった酒井祐治(池内博之)は、週刊誌の記者として埋立地で発見された旧紙幣1億5千万円の真相を追っていた。そんな中ある強盗殺人事件が発生。被害者は酒井が取材したばかりの相手で……。記者として別々の道を歩いていた松岡と酒井。2人が10年ぶりに再会したことで永田町を揺るがす官邸最大のタブーが暴かれていく――!
連続ドラマW
感想・その他
ドラマは、雨の降る中で一億数千万円の入った金庫を埋めるシーンから始まります。その重厚感のあるオープニングは、物語の重要な伏線となっていますが、視聴者としては「どうしてわざわざ金庫ごと埋めたのか?」と首をかしげてしまいました。効率を考えれば、現金をカバンに分けて隠すか、いっそ燃やしてしまう方が合理的に思えます。それでも重い金庫をそのまま埋める――何か特別な理由があったのか、なぜこの方法を選んだのか、ドラマの終盤までその答えは明かされず、視聴者の好奇心を強く引きつけます。こうした演出は、物語に緊張感と謎めいた雰囲気を与える効果的な手法だと感じました。また、このドラマには光石研さんや野間口徹さんといった、安定感抜群の脇役俳優が出演しています。長年さまざまな作品で活躍しているだけあって、画面に自然に馴染む存在感は見ていて安心感があります。ここには出演していませんが、最近よく見かける橋本じゅんさんも印象的です。以前は名前も知らなかったのですが、『極主夫道』『共演NG』『恋はDeepに』『桜の塔』などの出演作で、すっかり覚えてしまいました。制作側がこの俳優を起用したくなる理由は私には完全には分かりませんが、1964年生まれの同年代として、これからもますます活躍してほしいと思います。
全体として、このWOWOWの連続ドラマは、日本物ならではの緊張感と人物描写の丁寧さが光る作品です。重い金庫を埋める衝撃的なオープニングから、脇役陣の安定した演技まで、視聴者を惹きつける要素が随所に散りばめられており、最後まで飽きずに楽しむことができました。
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