私的評価
映画『キングダム/見えざる敵』を観ました。Amazonプライムビデオでの鑑賞です。
実のところ、観出してすぐに一度観たことのある映画だと気付きました。しかし、どういうエンディングだったのかも思い出せず、最後まで観てしまいました。中盤以降のアクションは見物です。
★★★☆☆
作品概要
監督はピーター・バーグ。脚本はマシュー・マイケル・カーナハン。
製作はマイケル・マン、スコット・ステューバー。
製作総指揮はサラ・オーブリー、ジョン・キャメロンほか。
主演はジェイミー・フォックス、その他出演者にジェニファー・ガーナー、クリス・クーパーほか。
2007年公開のアメリカのサスペンス映画です。絶対君主制の王国サウジアラビア(キングダム)を舞台にした、テロをテーマに復讐の連鎖を描くサスペンス・アクション映画です。監督は映画『コラテラル』にも出演し、俳優としても活躍するピーター・バーグです。
作品の紹介・あらすじ
解説
4人のFBI捜査官が自爆テロ事件捜査のため、サウジアラビアに乗り込んで行く社会派アクション。FBIのスペシャリストたちがタイムリミットは5日という極限状態の中、地元警察と激しい攻防を繰り広げる。主演はオスカー俳優のジェイミー・フォックス。共演者も『カポーティ』のクリス・クーパーや『エレクトラ』のジェニファー・ガーナーら実力派ぞろい。手持ちカメラを駆使したドキュメンタリータッチの映像は必見。
あらすじ
父母参観日に出席中のFBI捜査官ロナルド(ジェイミー・フォックス)の元に、サウジアラビアで自爆テロ事件が発生したと知らせが入る。彼は法医学調査官のジャネット(ジェニファー・ガーナー)や、爆発物専門家のグラント(クリス・クーパー)らとともに事件の調査を開始。しかし、FBIの捜査を拒むサウジ政府との交渉は難航し……。
シネマトゥデイ
感想・その他
この作品は、サウジアラビアの首都リヤドで発生した外国人居住区爆破テロを受けて、アメリカのFBI捜査官たちが現地に派遣され、過激派勢力と命がけの攻防を繰り広げる様子を描いた緊迫のサスペンス・アクションです。砂漠の国で展開される事件の中、FBIという組織が国境を越えて捜査に乗り出す姿に、まずは違和感を覚えました。というのも、FBIといえば「連邦捜査局」という名称の通り、アメリカ国内の犯罪捜査に特化した組織だとずっと思っていたからです。海外に出て行って活動するのはCIA(中央情報局)や国防総省の仕事という先入観がありました。しかし、調べてみるとFBIには「法の及ぶ範囲を越えてでも、米国人の安全を守る」という大きな役割があり、海外における米国人に対する犯罪、あるいはアメリカの権益が関わるテロ事件の捜査にも従事しているとのこと。つまり、映画のように外国で捜査活動を行うというのも、現実に即した設定であり得るのだと知り、大変勉強になりました。
物語の展開は非常にスピーディーかつショッキングで、目を背けたくなるようなシーンも多々ありましたが、最後に印象的だったのは「復讐」というテーマの描き方です。映画の冒頭では、アメリカ側がテロ事件で失った仲間のために「皆殺しにしてやる」と誓い、物語のラストでは、イスラム過激派の少年が同じ言葉を口にします。この「皆殺し」という言葉の連鎖が象徴しているのは、まさに報復が報復を呼ぶという負のスパイラル。お互いに傷つけ合い、やがてその憎しみが次の世代にまで引き継がれていく。映画の中の出来事とはいえ、これは今も現実に起きている悲劇なのだと痛感させられました。
世界のどこかで「正義」の名のもとに争いが絶えない今、互いの違いを受け入れ、真に分かり合える日が一日でも早く訪れることを願ってやみません。
ちなみに、この映画の監督を務めたピーター・バーグという名前を見て、どこかで聞き覚えがあるなと思ったのですが、過去に私が何本も彼の作品を観ていたことに気づきました。たとえば、『マイル22』や『パトリオット・デイ』、『バーニング・オーシャン』、そして『バトルシップ』など。どの作品も、アクションや緊迫感のある演出はもちろん、登場人物たちの人間味や葛藤がしっかり描かれていて、単なる娯楽作品にとどまらない深みを感じさせるものばかりです。
特に印象深いのは、『パトリオット・デイ』や『バーニング・オーシャン』といった、実際に起きた事件を題材にした作品においても、彼が単に事実をなぞるのではなく、そこに生きる人々の心情や痛みを丁寧に描いているところ。今回の『キングダム』もまた、エンターテインメントでありながら、社会や世界の矛盾、人間の本質に鋭く切り込んだ作品だったと思います。
ピーター・バーグ監督の作品は、今後も機会があれば積極的に観ていきたいと思わせてくれる、そんな一本でした。
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