私的評価
2020年1月にカナダで放送されたテレビドラマ『アウトブレイク ―感染拡大―』を観ました。全10話、Amazonプライムビデオでの視聴です。
このドラマが制作されたのは2019年で、いわゆる新型コロナウイルスが世界的に大きく騒がれる前のことです。そのため、視聴中はどこか現実離れした話かと思っていましたが、内容のリアリティと緊張感には圧倒されました。原因ウイルスの特定から、モントリオールという一都市での感染封じ込め、そして終息までの流れが非常に詳細に描かれており、まるで現在のコロナ禍を事前に予測していたかのようです。
特に印象的だったのは、感染拡大のスピードや医療現場の混乱、政府や保健当局の対応の描写です。ドラマならではの演出もありますが、現実のパンデミックの状況と重ね合わせると、ゾッとするほどリアルで、視聴中は手に汗を握りました。また、登場人物たちが限られた情報の中で懸命に対応し、時には葛藤しながらも解決に向かっていく姿には、思わず感情移入してしまいます。
結末は、都市レベルで感染を封じ込めるというドラマ的な収束を迎えますが、それでも現在の世界的な状況を考えると、非常に示唆に富む作品でした。『アウトブレイク ―感染拡大―』は、パンデミックをテーマにしたドラマとしてだけでなく、危機管理や人間ドラマの面でも見応えのあるシリーズです。
★★★★☆
作品概要
監督はヤン・ラヌエット・チュルジョン。脚本はアニー・ピエラール、ベルナール・ダンスローほか。
製作はソフィー・ペレリン。
主演はジュリー・ルブレトン、共演者にはメリッサ・デゾルモー=プーラン、ガブリエル・サブラン、ギョーム・シールほか。
折しも中国・武漢で問題が起こり始めた2020年1月に、カナダで放送されました。
作品の紹介・あらすじ
あらすじ
カナダ・ケベック州モントリオールの街中で、危険な未知のウイルスが先住民族イヌイットのホームレスの人々の間で今まさに広がろうとしていた。感染症のスペシャリストであり、緊急衛生研究所の所長であるアンヌ=マリー・ルクレール博士は、この非常事態に伝染性が高い未知のウイルスの存在にいち早く気付き、その正体を掴もうと奔走する。
一瞬の接触、連鎖的な接触を経て、次々に州全土に増えてゆく感染者、そして死者。やがて、その原因が感染力と致死率が極めて高い【新型のコロナウイルス】だったことが判明する―。
さまざまな人間関係が交錯する中、アンヌ=マリーたちは致命的な感染症の大流行-パンデミック-を防ぐ事が出来るだろうか―。
株式会社トランスフォーマー
感想・その他
Amazonでの配信作品は字幕版で、言語はフランス語でした。この作品の舞台は、カナダ・ケベック州の大都市モントリオールです。調べたところ、植民地時代において、イギリス人よりも先にフランス人の入植が始まったため、カナダで唯一ケベック州だけ、公用語はフランス語とのことでした。このドラマでは、最初に不審死の患者(感染者)として認められたのはイヌイット(先住民族のエスキモー系諸民族)のホームレスだったので、「イヌイット・ウィルス」と呼ばれるようになりました。イヌイットやホームレスへの偏見や差別はもちろん、「イヌイットに接触しないように」というまったく間違った情報の誤った情報の拡散。また、病院で働く看護師が医療用のマスクを大量に盗み出し、高値で売って大儲けする地獄に落ちろ的な人物まで出てきました。放送から数か月後に、日本でも発生したデマや、マスクの転売禁止の緊急措置法などを考えると、ホントにびっくりするくらいの未来予想したドラマでした。
こうして感染者が増えていくんだな、そんなのがよく分かるドラマです。今この時期に観れば引き込まれること間違いないドラマです。
最後に、ルクレール博士役のジュリー・ルブレトン。この人がトリンドル玲奈に見えて仕方ありませんでした。

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