私的評価
映画『マザーレス・ブルックリン』を観ました。レンタルDVDでの鑑賞です。
上映時間は2時間を優に超える大作でしたが、決して長さを感じさせない作品でした。何より印象的だったのは、原作小説が1990年代を舞台にしているのに対し、この映画では時代設定を1950年代に移している点です。これによって当時のニューヨーク独特の空気感が漂い、古き良きアメリカの街並みやファッション、そしてクラシックカーが走る光景まで、まるでタイムスリップしたように楽しむことができました。特にジャズバーで流れる音楽や街角のざわめきが、物語に深みを与えているように思います。
一方で、主人公の探偵が抱える病や癖、そして次々と繋がっていく事件の糸口など、かなり複雑に描かれているため、一生懸命観ていたにもかかわらず、正直なところ事件の全貌を完全に理解できなかった、というのが本音です。とはいえ、分からなかった部分があるからこそ「もう一度観て確かめたい」と思わせる不思議な魅力を持った作品でした。
★★★☆☆
作品概要
監督・脚本はエドワード・ノートン。制作はエドワード・ノートンほか。
原作はジョナサン・レセムの『マザーレス・ブルックリン』。
出演はエドワード・ノートン、ブルース・ウィリス、アレック・ボールドウィン、ウィレム・デフォーほか。
2019年に公開されたアメリカ合衆国の映画です。
作品の紹介・あらすじ
解説
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』に出演したエドワード・ノートンが監督・脚本・製作・主演を務めるノワール。恩人殺害の真相を追う私立探偵がニューヨークの闇に迫る。共演はブルース・ウィリス、ググ・ンバータ=ロー、アレック・ボールドウィン、ウィレム・デフォーら。レディオヘッドのトム・ヨークが提供したオリジナルソングに、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーや、ジャズミュージシャンのウィントン・マルサリスが参加している。
あらすじ
1957年のニューヨーク。障害を抱えながらも並外れた記憶力を持つ私立探偵ライオネル・エスログ(エドワード・ノートン)の恩人で友人のフランク・ミナ(ブルース・ウィリス)が殺される。事件の真相を探るため、ライオネルはハーレムのジャズクラブからブルックリンのスラム街まで、わずかな手掛かりを頼りに調査を進め、街を牛耳る黒幕にたどり着く。
シネマトゥデイ
感想・その他
主人公ライオネルは、チック症という障害を抱えており、その影響で思わぬ言葉を口走ってしまう人物として描かれています。私は日本語吹き替え版で鑑賞しましたが、英語版ではどのように表現されているのか気になるところです。ライオネルの発する突発的な言葉には思わず笑ってしまう場面も多くありました。ただし、チック症の中でも「汚言症(おげんしょう)」と呼ばれる症状にあたり、実際の患者さんにとっては非常に深刻で、決して笑い事ではないことも頭に置いておくべきでしょう。この映画には、ブルース・ウィリス、ウィレム・デフォー、アレック・ボールドウィンといった豪華俳優陣が出演しています。私は映画『プラトーン』でウィレム・デフォーに注目し、『ミシシッピー・バーニング』でさらに好きになりました。大好きな作品『イングリッシュ・ペイシェント』にも出演しているのですが、不思議なことに、つい最近までなかなか名前を覚えられない俳優でした。
一方、アレック・ボールドウィンについては、ずっと連続ドラマ『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』に出演していたと勘違いしていたのですが、実際にはブレット・カレンという俳優と取り違えていました。年齢も近く、雰囲気も非常に似ているためでしょう。ちなみに映画『ジョーカー』では、主人公の父親役は当初アレック・ボールドウィンが演じる予定だったもののスケジュールの都合で降板し、その代役を務めたのがブレット・カレンだったそうです。こうしてみると、やはり二人のイメージが重なるのも納得です。
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