上川隆也主演、連続ドラマW『真犯人』のあらすじ・感想など

私的評価

WOWOWの連続ドラマ『真犯人』を観ました。
全5話、レンタルビデオでの視聴です。

昭和に起きた未解決事件と、平成に起きた事件が交差するミステリードラマで、未解決になっていた誘拐事件の真相に迫ります。誘拐事件とはなんだったのか、犯人は誰なのか、その辺りの謎解きは最終話前でなんとくなく分かってしまいましたが、一気観したくなるドラマでした。

ちょっと頂けなかったのは、無理やりこじつけたような最後の「富士山」の件。いくら以前、家族みんなで富士山を登ろうと約束していたとしても、身代金受け渡し場所3か所を富士山の見える場所にするだろうか。人が死んでそれを偽装する時に、そんな感情が沸き上がるだろうか。家族愛を表現したかったのだろうが、この設定は要らなかった。

この『真犯人』では、昭和63年(普通の上川隆也)と平成20年(老け顔メイクした上川隆也)という20歳も歳の離れた役を演じていますが、老け顔メイクがなんら違和感が無く、WOWOW特殊メイク班のレベルの高さを感じたとともに、上川さんの渋く重厚な演技力が光ってました。
やはりWOWOWの連続ドラマにハズレ無し、とても丁寧に作られたドラマでした。

★★★★☆

作品概要

原作は翔田寛の同名の小説です。
監督は村上正典。
脚本は池田奈津子。
主演は上川隆也、共演者には小泉孝太郎、内田有紀、尾美としのり、でんでん、高嶋政伸ほか。

2019年秋にWOWOWで放送されました。昭和と平成の2つの時代に起きた事件が交差するミステリードラマで、時代を超えて事件の捜査に邁進する刑事たちが描かれます。

作品の紹介・あらすじ

平成20年、静岡県の国道高架下で須藤勲(尾美としのり)の殺人事件が発生。
この事件を捜査する静岡県警富士裾野署の刑事・日下悟(小泉孝太郎)は、須藤が昭和49年に離婚した妻との間にできた、当時 静岡在住の幼い息子・尾畑守を誘拐殺人事件で亡くしていたことを知る。
この事件は時効成立の1年前となる昭和63年に、静岡県警本部長の榛康秀(高嶋政伸)の指示により特別捜査班を編成。ノンキャリアながら警視にまで 昇進した重藤成一郎(上川隆也)が管理官となり、有能な刑事6人を率いて再捜査が行なわれた。
それから20年後に東京在住の須藤が静岡で殺されたことを不可解に感じる日下は、昭和の誘拐殺人事件を掘り下げることが須藤殺害の解明につながると直感し、警察から離れて久しい重藤を訪ねて事件解決の手掛かりを探る。
さらに、日下は尾畑守の遺族である母親の小枝子(長野里美)や姉の理恵(内田有紀)にも接触、次第に真相へと近づいていく。

WOWOW連続ドラマW

感想・その他

主演の上川隆也さんと言えば、やはり『大地の子』が思い浮かびます。1995年にNHKで放送されたこのドラマで、上川さんは当時29歳でした。比較的遅咲きと言える俳優人生のスタートであり、当時はまだ無名に近い存在でした。Wikipediaによると、『大地の子』の原作者である山崎豊子さんは、本来主演に本木雅弘さんを考えていたそうです。しかし、中国での長期撮影やスケジュールの関係から売れっ子である本木さんを断念せざるを得ず、スタッフが偶然見つけた当時無名の上川さんに白羽の矢を立てたとのことです。この偶然がなければ、現在の上川隆也さんの活躍もなかったかもしれません。

その後の上川さんのキャリアも印象的です。WOWOWドラマでは、高村薫さんの小説を原作とした『マークスの山』や『レディ・ジョーカー』で演じた合田雄一郎役が特に印象に残ります。いずれも役柄の重厚さや心理描写が求められる作品でしたが、上川さんは見事に演じきり、俳優としての存在感を強く示しました。

振り返ると、上川さんは『大地の子』での偶然の抜擢からスタートし、その後着実にキャリアを積み重ねて、現在では幅広い役柄をこなせる実力派の俳優に成長しました。当時彼を発掘したスタッフには感謝しかありません。視聴者としても、あの偶然があったからこそ、数々の名演技に出会えたのだと思うと、感慨深いものがあります。

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