私的評価
映画『空母いぶき』を観ました。レンタルDVDでの鑑賞です。
率直に言って、原作とは全く印象が異なり、とにかく残念な映画でした。原作の緊張感や戦略的駆け引きはほとんど感じられず、迫力のある現代戦のリアリティも薄かったように思います。現代の戦争においては、最初に撃った方が圧倒的に有利です。逆に、“撃たれてから撃つ”という展開では、絶対に勝ち目はありません。実際の自衛隊員であれば、命を懸けて戦う場面でこの映画のような都合の良い展開はまずありえないでしょう。
思わず比べてしまうのが、古い映画ですが『亡国のイージス』です。こちらも専守防衛をテーマにした作品でしたが、緊張感や戦略描写、映画としての完成度という点では、『空母いぶき』よりもはるかに優れていました。ストーリーや演出に多少の脚色はあるものの、戦争のリアルさや兵士たちの心理がしっかり描かれており、観客に緊迫感を伝えることができていました。
『空母いぶき』の場合、迫力ある戦闘シーンや戦略的判断の描写が不足しているため、映画としての説得力に欠け、原作ファンとしても少し物足りなさを感じざるを得ませんでした。作品としてはスケールの大きさはあるものの、リアリティや緊張感を重視する人には、やや消化不良な映画と言えるでしょう。
★★☆☆☆
作品概要
監督は若松節朗。脚本は伊藤和典、長谷川康夫。
原案はかわぐちかいじの同名の漫画。
出演は西島秀俊、佐々木蔵之介です。
2019年の日本映画です。「沈黙の艦隊」のかわぐちかいじ原作のコミック「空母いぶき」を、西島秀俊と佐々木蔵之介の共演で実写映画化しました。国籍不明の軍事勢力から攻撃を受ける中、自衛隊員や政治家など、国民の命と平和を守るため奔走する人々の姿を描きます。
作品の紹介・あらすじ
解説
「沈黙の艦隊」「ジパング」などのかわぐちかいじのコミックを原作にしたミリタリーサスペンス。波留間群島の一部占領を受け、現場に向かう航空機搭載護衛艦の乗組員の運命を多角的に映し出す。監督は『沈まぬ太陽』などの若松節朗。『MOZU』シリーズなどの西島秀俊、『超高速!参勤交代』シリーズなどの佐々木蔵之介らが出演。日本の置かれている状況を反映したドラマに引き込まれる。
あらすじ
20XX年。日本最南端沖で国籍不明の漁船20隻が発砲を開始し、波留間群島の一部を占領して海上保安庁の隊員を捕らえる。日本政府は、航空機搭載護衛艦いぶきをメインにした艦隊を派遣。お互いをライバルとして意識してきた航空自衛隊出身のいぶきの艦長・秋津竜太(西島秀俊)と海上自衛隊出身の副長・新波歳也(佐々木蔵之介)は、この未曽有の事態を収束しようとする。
シネマトゥデイ
感想・その他
この映画のストーリーは、ほぼ映画用のオリジナル展開となっています。侵略してくるのは謎の新興国という設定ですが、漫画版を読んでいる身としては、少々拍子抜けしました。原作ではもっと直接的な政治的要素や国名が出ていたかもしれませんが、映画ではさすがに中国を名指しで侵略軍とすることはできなかったのでしょう。結果として、どのシーンも少し現実感や説得力に欠け、見ていて違和感が募り、とてもイライラする瞬間が多かったです。しかし、そんな中で唯一の救いとなったのが、本田翼さんの可愛さでした。スクリーンに映るたびに、「あれっ、この人ってこんなにキレイだったのか」と今更ながら驚かされました。表情や仕草が自然で、スクリーンに吸い込まれるような存在感があります。これを機に、俄然、翼ファンになってしまいました。
調べてみると、彼女は映画『新聞記者』(2019年6月公開)にも出演しているそうで、これはぜひ観なければなりません。また、過去の出演作に『起終点駅 ターミナル』という映画もあるようで、こちらも気になる作品です。正直なところ、以前は「なんとも思わない女優さん」だったのですが、今後は出演作をしっかりチェックしたいと思います。映画の内容自体には不満が残ったものの、彼女の存在感のおかげで少し救われた作品でした。
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