私的評価
映画『羊と鋼と森』を観ました。レンタルDVDでの鑑賞です。
主人公の祖母役には吉行和子さん。ひょっとしたら映画の中で、一言も言葉を発していなかもしれません。その祖母がかつて直樹(主人公)の弟に言っていたそうです。「直樹は森で迷っても必ず帰ってきた」と。これを聞いて、調律師として迷っていた主人公の心はサッと靄が晴れたようになりました。
役としてのセリフはありませんでしたが、多分主人公には一番の心に響いた言葉となったはずです。
森に吹く風の音とか木の葉の揺れる音、雨の優しい音など、とても美しい映画でした。
★★★★☆
作品概要
監督は橋本光二郎。脚本は金子ありさ。
原作は、宮下奈都の「羊と鋼の森」。
製作は石黒裕亮ほか。
出演は山﨑賢人、鈴木亮平、三浦友和です。
2019年の日本映画です。原作は、第13回本屋大賞に輝いた宮下奈都の小説「羊と鋼の森」です。ピアノの調律の虜になった一人の青年が調律師となり、さまざまな人々との交流を通じて成長していくさまを描いています。
作品の紹介・あらすじ
解説
第13回本屋大賞に輝いた宮下奈都の小説を実写映画化。ピアノの調律のとりこになった一人の青年が調律師を志し、さまざまな人々との交流や、挫折を経験しながら成長していくさまを描く。主人公・外村を『四月は君の嘘』などの山崎賢人、外村の人生に大きく関わる調律師・板鳥をテレビドラマ「就活家族 ~きっと、うまくいく~」などの三浦友和が演じる。『orange-オレンジ-』で山崎と組んだ橋本光二郎がメガホンを取り、『高台家の人々』などの金子ありさが脚本を担当。
あらすじ
北海道育ちの外村直樹(山崎賢人)は、高校でピアノの調律師・板鳥宗一郎(三浦友和)と出会い、板鳥の調律したピアノの音色がきっかけで調律師を目指すことに。やがて板鳥のいる楽器店で調律師として働き始め、先輩に同行した仕事先で高校生の姉妹ピアニスト和音と由仁に出会う。
シネマトゥデイ
感想・その他
本屋大賞を獲った本は必ず読むという友人から、「とても面白かった」と聞いていたこの作品。それが映画化され、レンタルで観られるようになったと知って、さっそく借りて観てみた次第です。 タイトルの『羊と鋼と森』には、正直最初は不思議な印象を持っていました。「羊と鋼?森?何のことだろう」と思っていたのですが、映画の序盤でその意味が徐々に理解でき、「なるほど」と納得。タイトルの意味を知ると、逆にこの映画の世界観や雰囲気にぴったりで、とても良いタイトルだと感じました。何より印象的だったのは、ピアノの奥深さを知ることができた点です。これまでピアノという楽器の構造や、どのような方法で音が鳴っているのかについてはまったく知識がありませんでした。しかし、この映画を観ただけで、ほんの少し「ピアノ通」になれたような気分になれます。
映画の中では、「1つの鍵盤には約60個の部品があり、調整も60か所」という会話が出てきました。たった一つの鍵盤でもこれだけ複雑で精密な構造があるのかと驚かされます。ピアノという楽器の奥深さだけでなく、調律師という職業の繊細さや情熱も、画面を通してひしひしと伝わってきました。
どんな物事でも、どんな職業でも、表面だけでは分からない奥深さや魅力があるのだと改めて感じさせられる映画です。音楽やピアノに詳しくない人でも、物語を通して自然にその世界に引き込まれ、調律師や楽器に対する敬意を抱かずにはいられません。
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