私的評価
WOWOWの連続ドラマ『水晶の鼓動 殺人分析班』を観ました。Amazonプライムビデオでの視聴です。
率直な感想として、このドラマには観ていてイラっとする場面が少なからずあります。キャラクターの行動や展開に首をかしげたくなる瞬間があり、そこは正直我慢が必要です。しかし、その不満を乗り越えてしまえば、物語としては十分に楽しめる内容になっています。ストーリーの緊張感や事件の解明の過程など、刑事分析ドラマとしての面白さはしっかりと感じられました。
特に、前作の『石の繭 殺人分析班』と比べると、全体の構成や展開が洗練されており、前作よりも見やすく、理解しやすくなっている印象です。キャラクター同士の関係性や事件の解決プロセスもより丁寧に描かれており、視聴後の満足感は高めでした。
つまり、このドラマは多少のストレスを覚悟の上で観る価値がある作品です。イラっとする瞬間も、キャラクターや物語の魅力を理解することで、逆にドラマに深く入り込むきっかけになるかもしれません。刑事分析系ドラマが好きな人には、前作とあわせておすすめできる一作です。
★★★☆☆
作品概要
監督は内片輝。原作は麻見和史の『水晶の鼓動』、『警視庁捜査一課十一係シリーズ』の第3作です。
脚本は八津弘幸。
主演は木村文乃、その他出演者には青木崇高、渡辺いっけい、藤本隆宏、北見敏之ほか。
2016年秋にWOWOWで放送されました。全5話。2015年、大ヒットを記録した本格クライムサスペンス『石の繭 殺人分析班』。そのシリーズの第2弾です。木村文乃が、正義感が強いが経験が少なく危なっかしい警視庁捜査一課の刑事を演じます。
作品の紹介・あらすじ
あらすじ
警視庁捜査一課十一係の刑事、如月塔子(木村文乃)は、日本中を震撼させた連続殺人犯“トレミー”の事件を解決に導いたが、1年たってもその時に受けた“トラウマ”に苦しんでいた―。
ある日、深紅に染まった部屋での猟奇殺人事件が発生する。現場に残された手掛かりをもとに捜査を進める塔子や警部補の鷹野秀昭(青木崇高)だが、見知らぬ男に尾行されていることに気付く。その男を捕らえようとした瞬間、近くの建物で爆発が起こる。未曾有の危機に直面する警察。果たして、これは偶然なのか?
そして塔子は刑事としての最大の危機を乗り越えられるのか? シリーズ史上最も、大胆かつ複雑な事件の全貌とは?
その衝撃のラストへのカウントダウンが今、始まる!
連続ドラマW
感想・その他
前作『石の繭』以上に、木村文乃さんの演技と人物像にイラっとさせられました。自信家である一方、精神的には脆く、鋭い観察力や目の付け所は確かにあるのですが、肝心の行動が伴わないのです。現場での決断や判断力が追いつかず、「もう現場を離れて分析に専念してもらったほうがいいのでは」と思わずにはいられませんでした。警察組織全体も、随所で「大丈夫か?」と思わせる場面が多く見受けられます。特に終盤、病院内での対応では、絶対に死なせてはいけない人物を死なせてしまうシーンがあり、普通なら何らかの処分や責任追及があってしかるべきミスです。それにも関わらず、二人だけで突入してしまう場面が何度もあり、「おいおい、そんな無茶を…」とツッコミを入れたくなる瞬間が続きます。
それでも、ドラマ全体の構成やストーリー展開はしっかりしており、ハラハラ、ドキドキと息をのむ場面が多く、見応えは十分にありました。しかし、私の評価がどうしても辛口になってしまうのは、やはり一にも二にも木村文乃さんのキャラクターと演技に原因があります。人物像の矛盾や演技の不安定さが、物語の緊張感を少し削いでしまっているのが正直なところです。
総合的には、ストーリーの面白さや演出の緊張感は高く評価できるものの、主要キャラクターの描き方や演技が気になってしまうため、個人的には好みが分かれる作品だと感じました。
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