ジャン・レノ主演、海外連続ドラマ『刑事ジョー パリ犯罪捜査班』のあらす じ・感想など

私的評価

海外連続ドラマ『刑事ジョー パリ犯罪捜査班』を観ました。
Amazonプライムビデオでの視聴です。

Amazonプライムビデオで「次は何を観ようか」と作品を探しているときに目に留まったのがこのドラマでした。タイトルに「パリ犯罪捜査班」とあるだけで、ヨーロッパの街並みを舞台にした重厚なサスペンスを期待してしまいますし、さらに主演があのジャン・レノとくれば、「これは間違いなく面白いだろう」と胸が高鳴りました。『レオン』以来の圧倒的な存在感を、テレビドラマで堪能できるのかと思うと、それだけで観る価値があるように思えたのです。

ところが実際に観てみると、正直いま一つ。ジャン・レノの渋さや独特の雰囲気は健在なのですが、物語の構成やテンポがどうにも淡白で、盛り上がりに欠けます。事件の謎解きも浅く、人物描写にも深みがなく、最後まで「もっと面白くできたのでは…」という惜しさが残りました。せっかくのジャン・レノ主演作だけに、期待が大きかった分、落胆も大きかったというのが率直な感想です。

★★☆☆☆

作品概要

監督はシャーロット・シーリング、クリストファー・ナイホルム、ステファン・シュワルツほか。
製作総指揮はルネ・バルサー。
主演はジャン・レノ、その他出演者にはジル・ヘネシー、トム・オースティンほか。

2013年のフランス・イギリス合作の刑事ドラマで、全8話です。
監督は『レオン』などのリュック・ベッソンで、主演は『ミッション:インポッシブル』や『ダ・ヴィンチ・コード』などハリウッド映画にも多数出演している国際派俳優ジャン・レノです。レノはフランスTVドラマ初主演で、740万人を超える視聴者を獲得しました。

作品の紹介・あらすじ

解説
レノが演じるのは、仕事は有能だが家庭生活は破綻しているパリ警視庁犯罪捜査班の刑事ジョー。世界的なパリの名所、ノートルダム大聖堂、エッフェル塔、コンコルド広場などで起きる難事件の捜査に挑みつつ、娘アデルから一度失った信頼を取り戻そうと奮闘する父親でもある。叩き上げのジョーが科学捜査といった最新の捜査手法に頼ることなく、足と勘を使った地道な捜査を通じ、事件の当事者たちの心理をすくって真相究明を目指すのがハードボイルド感たっぷりな仕上がり。オリヴィア・ダボ、シエンナ・ギロリー、サム・ウォーターストン(「ニュースルーム」のチャーリー役)らゲスト俳優陣も充実。

あらすじ
パリ警視庁犯罪捜査班のジョー(ジャン・レノ)は叩き上げのベテラン刑事だが、素行が悪く、酒を飲んで犯行現場に現われるような荒んだ生活を送っている。しかし、ひとたび仕事に取りかかれば最新の捜査手法に頼ることなく、足と勘を使った地道な捜査を通じ、事件の真相を究明していく、頼もしい名刑事だ。ジョーは残された唯一の家族である看護師の娘、アデルがドラッグの売人と付き合っていると知り、何とかできないかと苦悩する。一方で、ノートルダム大聖堂、エッフェル塔、コンコルド広場、ヴァンドーム広場、オペラ座(ガルニエ宮)など、パリを代表する名所で起きた殺人事件の真相究明に挑んでいく。

WOWOWドラマ

感想・その他

決して面白くなかったわけではありません。むしろ、フランス・パリという街を舞台に繰り広げられる重厚な犯罪捜査ドラマということで、独特の雰囲気や美しい街並み、そしてジャン・レノ演じる刑事ジョーの存在感など、見どころは随所にありました。

しかし、正直に言うと、どこか物足りなさも感じてしまったのが率直な感想です。その理由はおそらく、主人公ジョー(ジャン・レノ)以外の登場人物たちにあまり魅力が感じられなかったからだと思います。特に、鑑識担当の男性や女性検死官など、重要なポジションでありながら、エピソード内での描かれ方がとても薄く、印象に残る場面がほとんどありませんでした。

話数が全8話という限られた尺の中で、多くの事件をテンポよく処理していく構成だったこともあり、登場人物それぞれの背景や個性が掘り下げられることなく終わってしまった印象があります。刑事ドラマの醍醐味の一つは、チームの絆やそれぞれのキャラクターが成長していく過程にあると思うのですが、このドラマではその部分がやや希薄だったのが残念です。

それでも、主演のジャン・レノはさすがの存在感でした。無骨で寡黙なベテラン刑事という役柄が非常によく似合っていて、彼の佇まいひとつで画面の空気が締まる。ジョーというキャラクターにもっと寄り添い、周囲の人間関係や彼自身の過去なども深く掘り下げていれば、より味わい深いドラマになっていたかもしれません。

さて、シーズン1の8話目まで観終わり、「さあ、続きのシーズン2へ!」と意気込んでAmazonプライム・ビデオを検索したところ、なんと配信されていない。調べてみると、どうやらシーズン2は制作されなかったとのこと。フランス国内では初回放送時に視聴者数が740万人を超える大ヒットとなったようですが、ジャン・レノ主演ということもあり制作費がかなり高額だったそうで、その期待に見合うだけの持続的なヒットには至らなかったようです。視聴者数は伸びたものの、製作コストとのバランスが取れなかったということで、シーズン2の企画は立ち消えになった模様です……残念。

物語も「さあ、これからジョーの過去が明かされるのか?」「次の展開に何が起こるのか?」といった、まさに続きが気になる絶妙なタイミングで終わっているだけに、打ち切りという事実にがっかりしてしまいました。まるで一冊の本を読みかけのまま閉じられたような感覚で、消化不良が否めません。

総じて、雰囲気は良いし主人公にも魅力はあるけれど、脇を固めるキャラクターや物語全体の深みという点で、あともう一歩という印象のドラマでした。シーズン2があれば…と、つい「たられば」を考えてしまう一本です。

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